横木安良夫
YOKOGI Alao
1949年千葉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。
篠山紀信に師事し、1975年に独立。エディトリアル、ファッション、ドキュメンタリー、コマーシャルなど様々な分野で活躍。
著書に写文集「サイゴンの昼下がり」、「横木安良夫流スナップショット」、小説「熱を食む、裸の果実」、
ノンフィクション「ロバート・キャパの最後の日」写真集「あの日の彼、あの日の彼女1967-1975」などがある。
www.alao.co.jp
僕にとって、今
地震や原発のことを無視して写真を撮ることはできません。
原発で享受されていた東京の繁栄。
いや原発にかぎらず、人工の光の下で暮らしている僕たち。
原発=科学技術の発展の帰結であり、
人類はその恩恵を受け入れて暮らしているのです。
都会に住むこととは、
シンプルに、ミニマルに生きるということさえ矛盾ではないのか?
ただ、人間はやっぱり都会が好きなのです。
そんな好きな場所が、人間疎外の場所であるはずがありません。
きっと都会に住むやりかたルールを知らないだけなのじゃないでしょうか。
東京の夜は光があふれています。
そこがどんなに、淫らに害のある街だとしても、
心はまた別の影響も受けているはずです。
世界でいちばん恵まれて、安全な街が、
もろくもくずれたことで、発見することのできる何か。
東京の町の、光に包まれた、
彼や、彼女や、あなた、そしてわたし。
Alao