MAKINO Tomoaki

牧野智晃

MAKINO Tomoaki

1980年生まれ。埼玉県出身、東京都在住。
東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。
中年の女性をその人の生活空間の中で奇妙なポージングで撮影し
女性の文化を記録するプロジェクトを継続して制作している。
現在、台湾の中年女性を撮影中。
写真集に「TOKYO SOAPOPERA」(FOIL)、「DAYDREAM」(4×5)がある。
2005年「AFTERNOON」(museum52/LONDON)、
2011年「DAYDREAM」(B GALLERY/東京)にて個展を開催。

"TOKYO SOAPOPERA"
TOKYO SOAPOPERAは、40代から50代の女性を部屋の中で撮影した作品である。
中年女性の持つ趣味やインテリア、ファッションなどの文化と共に、
日常に埋没しながらも女性が持っている「写真に写る」「舞台に上がる」といった自己表現の形を探っている。

同じ家に住んでいた自分の母親の姿を観察し、
母(おばさん)が持つ不可解なファンタジーに当時23歳だった自分の価値観が反発、
反響したことを記録していきたいという欲求が生まれたことがこの作品のきっかけであった。
今考えるとこれはカルチャーショックと云うことだと理解できる。
自分に一番近い母親に「真昼のカルチャーショック」を受けたという皮肉めいた現象である。

あれから11年が経ち、当時おばさんだと思っていた40代の女性を
今はおばさんだとは認識できない。
普通の女性である。正直なところ今の感覚で
"おばさん"を感じるのは50代、60代であると同時に、
自分もおじさんである年齢に近づいている。

自分が年齢を重ねるにつれ変化していく価値観を自分の中に発見したことが興味深い。
今も継続的に中年女性の撮影を遂行しているが「TOKYO SOAPOPERA」とは少し違う。
年齢はもちろん、国を飛び越えて、文化の境界をも超えたすべての価値観の差が
自分の価値観と反響することを糧に、このシリーズは続いていく。






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同世代の牧野智晃と出会ったのは5年前。
この「TOKYO SOAPOPERA」から7年後の発表となった
ニューヨークに住む中年女性を撮影した作品「DAYDREAM」の展覧会に携わらせていただいた。
そして彼はいま、台湾の中年女性を撮影している。

東京オリンピックが開催される2020年に牧野と僕は40代になり
「TOKYO SOAPOPERA」に登場している女性たちと同世代になっている。
それでも時間は止まることなくゆっくりと確実に歩を進めるだろう。
写真は時間を記録し、表面だけが美しく色褪せていく。
しかし僕たちは相も変わらず年齢を重ね続け、
日々新しく生まれ変わっていくのではないだろうか。

「東京画」キュレーター 藤木洋介
MAKINO
Tomoaki

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私たちの居場所、
東京の価値や存在を
写真を通して、
いま考える。

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