HIROKAWA Taishi

広川泰士

HIROKAWA Taishi

1950年神奈川県生まれ。コマーシャルなどで活躍する一方、ダイナミックなフィールドワークをベースとする作品制作に精力的に取り組む。ザルツブルグ、パリ、ミラノ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、ロスアンゼルス、ヒューストン、シドニー、東京他世界各地での個展の開催、国内外での企画展への招待出展も多数。その幅広い活動に注目が集まる。



Born in 1950 in Kanagawa. Dynamically active in creating artworks in geographical scale, also tackles commercial works. His works in wide range have been exhibited in several cities in Japan but also in international scenes in Salzburg, Paris, Milan, Amsterdam, London, New York, Los Angeles, Houston and Sydney.


hirokawa810.com

僕の生まれ育った家は、海辺の町にあり子供の足で15分程歩いてよく海岸へ遊びに行った。
海に近づいて来ると地面は砂が混ざり始め、潮の香がしてくる。
やがて足元は砂に埋まり、砕ける波の音を聞き、風を感じながら緩い斜面の松林を抜けると光る海が拡がり、
ガランとした砂浜には潮風に洗われた木造りのブランコ。
ダボハゼや貝、ウニ、イソギンチャクがいる磯や岩場も恰好の遊び場だった。
中学生になったある日、暫く振りに海岸へ行って愕然とした。
松林も磯や岩場も消え、全てコンクリートで埋め尽くされていた。
1960年代前半の事である。
以来40年余り、当時出来た海沿いの道路は既成事実の風景として其処にあり、以前の佇まいを想像する余地はない。
飽く無き作業は、今も延々と既成事実の風景を造り続け日本全土を被い尽くそうとしている。
ただ、人間の意図に反して自然に戻ろうとする力がある事も忘れてはならない。









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私たちの居場所、
東京の価値や存在を
写真を通して、
いま考える。

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