淺川敏
ASAKAWA Satoshi
1959年 東京・新宿生まれ。
1980年 東京工芸大学卒業。
1999 - 2004年 桑沢デザイン研究所非常勤講師
現在 ZOOM共同主宰。日本建築写真家協会会員。
Photographer and Principle of the partnership ZOOM.
1959 Born in Shinjuku,Tokyo, Japan
1980 Graduated from Tokyo Polytechnic University.
1999〜2004 Part-time instructor at Kuwazawa Design School
www.tosh-a.com
視線を投げかければその数だけの景色が現れる。
それはまるで景色の森。
視ること、感じること、切り取ること、残すこと。それが僕にとっての写真。
ある視点を持って視線を投げかける、そして切り取ることで出来上がる写真。
切り取ることもなく、視点も持たずに視線を投げかけることで現れる写真。
景色の森は景色の杜へと変わる。
そして残すこと。
写真の持つ記録性はとても大切な機能。
震災後、被災地に赴き写真を撮りながら考えた。
僕はいつの時代に対して記録を残そうと思っているのか。
それまではほんの目先のちょっと先に対してそう思っていたのかもしれない。
でも思った、ずっとずっと先に向けて残さなくては行けないと、
ずっと先、それは昨日に通じる。そして遥か未来へ。
自身の作品を通して交信する相手とは"誰"なのか?
多くのアーティストは時空を超えた次元にいるはずのその存在を信じ、作品を創ってきた。
"誰か"のために、言葉には置き換えられない「大切なコト」を信じられる画像として残すために。
私たちは自分の意志で、この時代の、この世界に生まれて来たわけではない。
いわばある種の偶然によって、目の前の景色を自分の視界に収めているにすぎない。
ただ、写真家が直感と覚悟を持ち、現実の景色と向き合った時、
そこには必然を備えたもうひとつの風景が立ち現れる。
私たちがここに生き、これを見ている事実、
それは「写真の力」を得ることで、
"然るべき誰か"に届けられ、さらなる意味を与えられる。
東京画チーフキュレーター 太田菜穂子
Satoshi