HASUI Mikio

蓮井 幹生

HASUI Mikio

1955 年東京都出身。明治学院高校、同大学社会学部社会学科に入学。アートディレクター守谷猛氏に師事しデザインを学び、デザインの道に入るが、1984年から独学で写真を学び、1988年の個展を機に写真家への転向を果たす。カルチャー系エディトリアルシーンで発表されたポートレイト作品がまずは注目を集めることになるが、着々とその表現の幅を拡大し、ストーリーを語りかける写真表現で厚い信頼を得る。写真表現が持つ精緻なメッセージを引き出すその撮影姿勢を反映した作品『PEACE LAND』はまさに蓮井の世界観の核を成し、継続的に発表され、2009年フランス国立図書館にシリーズを縦断し収蔵され、2010年には『詠む写真』の第一作シリーズ 17点が同図書館に収蔵される。

◆ 主要受賞歴
朝日広告賞準グランプリ・部門賞 / 日経広告賞 技術賞・部門賞 / ADC 賞 / 朝日広告賞部門賞 / TCC 賞 / ACC 賞 / IAA 賞 / "Industriya Reklamy" !e best CF of the year( ロシア)

◆ 主要出版物
1994 年『PEACE-LAND 1990-1994』 1994 年『RIKACO PLUS LOVE』 1995 年『漆黒の 59』
1995 年『DREAMS COME TRUE』 2000 年『TOKO』
2002 年『PEACE LAND 1995-2001』
2008 年『PEACE LAND m.hasui panoramic photographs 2002 - 2007』

◆ 作品コレクション
フランス国立図書館(パリ・フランス)
プライベートコレクション

構築される都市 SHIBUYA
まだ10代の頃、フルーツパーラー西村で働いていた僕には渋谷はカオスの街だった。バイトが終わるといつものコースを歩く。駅前の交差点を渡り、道玄坂に差し掛かる。みどりやを右に見てもう少し。細い路地を右に入る。するとその先に馴染みのジャズ喫茶「ジニアス」があった。細い急な階段を降りると、どちらかといえば少し前衛的な傾向のジャズが爆音で聴こえてくる。

その先には確か「デュエット」だっただろうか?もう一軒ジャス喫茶があり、ここはbebopのメインストリームジャズを得意としていた。ジャズを志していた私は、日々それらに入り浸っていた。道玄坂をもう少し登ると百間店(ひゃっけんだな)があり、そこには大雅苑という餃子と焼きそばの店があって、安くて美味しい夕食はいつもここだった。百間店を抜けて円山町、ここを抜けるときは少しだけ緊張した。ラブホテル街だ。しかし、その少し隠微な雰囲気に妙に惹かれて、一人でよくうろうろした。 渋谷は東急電鉄の街。東横デパートと東急文化会館がランドマークだ。まだ109はなく、この二つのランドマークを中心に伸びる太い血管は全てがそれに向かっておりてくる坂になっている。宇田川町からPARCOの下り、南青山から下る宮益坂、そして先 の道玄坂。すり鉢状になっているのが渋谷である。そしてその血管から無数に伸びる毛細血管には様々な飲食店や風俗、ジャズ、ロックなどのライブハウスやストリートカルチャーの店が張り付いている。

渋谷は大人の街ではなく、若者の街だ。未だにそれは変わらない。ライブハウスに長蛇の列、新進気鋭のラーメンショップ。安いのんべえ横丁には今でもたまに行く。2020年に向けて再開発される渋谷のランドマーク。その工事は急ピッチだ。しかし、私が若い頃から慣れ親しんだ渋谷はSHIBUYAとなっても変わらない。 むしろ、新しいビルディングがその表層の有様を大きく変えるほどに、文化のコントラストは強調されて、渋谷は古さも残しつつ新たな顔を見せ始めることだろう。
都市は絶えず再構築される。だが、文化を再構築することはできるのだろうか。 街の価値とはなんなのだろうか。私はこの作品で、二枚のランドスケープを並べ、写真として一枚に再構築してみた。なんらかの視覚的な類似点を探り、匂いを嗅ぎ、俯瞰して街を観察してみた。そしてそこには、若い頃から通った渋谷の変わらぬ表貌を感じ、これからのSHIBUYAを想像してみた。
私にとっての渋谷はSHIBUYAになっても変わらない。だが、街という器の形が変化すればそこに屯ろする人も変わる。時間が経てば、風化されるものは次第に朽ちて行く。都市は改造されてそのきっかけを与えられるが、本当の再構築はそこで人が新しい何かを始めることによって行われるものである。私が見ることのできないSHIBUYAはどんな人によって、如何なる街になることだろう。都市には興味が尽きない。































































HASUI
Mikio

100 PHOTOGRAPHERS100 PHOTOGRAPHERS Describing Tokyo Scapes

私たちの居場所、
東京の価値や存在を
写真を通して、
いま考える。